総量規制って何？
クレジットカード審査を受けるときに、年収を記入させられました。
なんでも総量規制というものが存在するとかで…これって、一体何なの？
フリーター
門田 タロウ
クレジットカードの女王
蘭蜜（らんみつ）先輩
多重債務者を作り出さないために施行された法律が、総量規制
2010年6月に施行された「貸金業規正法」という法律のなかで、個人が借りられる金額の上限が、その人の年収の3分の1までという制度が定められました。
無計画にいろいろな消費者金融からお金を借り、さらにその返済のために借金を繰り返し、その総額が事故の返済能力を上回ってしまった状態の多重債務者を作り出さないため、そのようなアリ地獄から消費者を保護するために施行された法律です。
この制度により、どれだけ信頼できる会社に長期間勤めていようが、どれだけ年収が高かろうが、消費者金融会社、ローン会社、クレジットカード会社などから担保を入れずにお金を借りられる総額が、すべての会社からの借入額を合計して、年収の3分の1以上は借りられないというルールが、借り入れの際の大前提となりました。
つまり、何社から借り入れをしようが、その総額が年収の3分の1を超えてしまった場合、それ以上の借り入れをすることは原則としてできません。
また、50万円超の借り入れまたは他業者を含めた借入総額が100万円を超える場合、年収額を証明するために収入証明書（年収証明書類/所得証明書類）の提出が求められます。
ただし、緊急の場合の医療費、つなぎ融資、個人事業主の事業資金貸付け、配偶者貸付け（夫婦の年繻子を合算とし、その3分の1とする）は、特例として例外の規定が設けられています。
キャッシングによる借入額が年収の3分の1を超えていると、ショッピング枠はゼロ円となります。
（※銀行の個人向けカードローン、クレジットカードによるショッピング、自動車ローン、住宅ローンは対象外。）
総量規制がクレジットカード業界に与えた影響
この総量規制によって、それまで各クレジットカード会社にゆだねられていた借入の限度額や頻度が制限されることになりました。
消費者は「A社のクレジットカードでは限度額まで借りてしまったけど、B社はまだOK、C社も借りられる！」のように複数のクレジットカード会社からお金を借りることができなくなったわけです。
例えば、年収が240万円のAさんの場合、総量規制により、利用限度額は80万円。
もしもAさんがクレジットカード会社Bで20万、会社Cで35万借りていたとしたら、新たにD会社で借りられる金額は、
借り入れ可能金額80万円－（会社B借り入れ金額20万円＋会社C借り入れ金額35万円）＝25万円
となります。
また、総量規制によってクレジットカード発行時の審査自体をも見直すクレジットカード会社も出てきました。
総量規制前のように一人の顧客に対して何枚もクレジットカードを発行するというやり方自体の見直しです。
併せて、広告や宣伝の方法も変わってきました。
金融業者を規制する「貸金業法」
お金を貸す事業を行っているのは、銀行だけではありません。さまざまな消費者金融会社があります。
そしてこれらのなかには、俗に「ヤミ金業者」と呼ばれるような、悪質な金融業者も含まれています。金融業者を規制するためにあるのが「貸金業法」です。
この法律は、貸金業者について登録制度を設けて、かつ、これらの団体を認可することによって貸金業務の適正な運営の確保を目的として、1983年に「貸金業規制法」という名のもとに立法されました。
その後、5段階にわたって少しずつ改正が施行され、2010年6月18日の第5次施行において、総量規制が導入されたかたちになります。
クレジットカードのキャッシングは貸金業法に支配されるが、銀行カードローンは別
そのため、年収の3分の1しか借り入れられないという条件はここに関しては適応されません。
クレジットカードのショッピング機能に関しても、貸金業法はキャッシングのみの対象となっており、ショッピングは割賦販売法という別の法律の支配下にあります。
いずれにせよ、昔のように何社からも借り入れるということは総量規制前と比べて厳しくなっています。
借り入れをする際には、計画的な利用を心がけるようにしてください。
